怖い話総合
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#151 [七氏]
Sは鬼になっても走らないでトボトボ歩いていた。チャイムがなってもそれは変わらなかった。
チャイムがなるとみんないっせいに教室に向かい自分の席に着いた。S以外は全員自分の席についた。
『あいつ追いかけてこないからつまんねーな』『あいつなんなんだよ』
などとみんなでSの文句をいっていた。そしてまもなくしてSは教室に入って来た。
そしてなぜか泣いているふうに見えた。Sはイスに座っている俺にまっすぐ向かってきた。
そしてあろうことか俺に殴りかかってきた。どうやらイスから無理やり立たせようとしてきたのだった。
それとほぼ同時に担任が教室に入って来たのでそのまま喧嘩にもならないまま終わってしまった。
:10/08/12 03:48
:W56T
:hLmSbAeo
#152 [七氏]
Sのやった行動はクラスの奴が全員みていたのでSと遊ぶ奴はもちろん、話す奴もいなくなってしまった。
そしてSの半径5m以内に近づかないゲームというのがクラスで流行りだした。
これはSと同じクラスの間中ずっと続いた。
・・そういえばSが授業中に寝るようになったのもこの頃からだったような気がする。
小学校6年の7月くらいに席替えでSと同じ班になった。
これは狭い会議室を一緒に掃除する事を意味していた。
さすがに近づかないゲームは終わっていたが関わりたくなかった。
この会議室は先生が見ていない場所なので、だれも真面目に掃除をするものがいないところだった。
俺は手のひらの上にホウキを乗せてバランスをとって遊んでいた。
他のやつらも適当にホウキを振り回して時間を潰していた。Sだけが糞真面目に掃除していた。
:10/08/12 03:50
:W56T
:hLmSbAeo
#153 [七氏]
掃除の終わりを告げるチャイムが鳴った。
みんなそれと同時にホウキを掃除箱に放り込んで逃げるように会議室をでていった。
俺はほうきでバランスを取る遊びの途中だったので、
バランスを崩して終わったらホウキをしまおうと思っていた。
俺はバランスを崩しゲームが終わった時
会議室にSと二人きりということに気づいたので、すぐにほうきをしまって教室から出ようと思った。
そして同時にしまったと思った。Sが掃除箱の前で仁王立ちしているのだった。
今思えばホウキをその辺にほっぽり出して教室から出ればよかったのだが。
ホウキが出ていると怒られると思ったので、
Sに言った『そこ邪魔だからどけよ・・』
Sは言った『あの時タッチされてない』
そういうと猛ダッシュでSは俺から逃げていった。
:10/08/12 03:54
:W56T
:hLmSbAeo
#154 [七氏]
教室に帰ってからもSは追いかけてもいないのに俺から勝手に逃げ回っていた。
自分のイスに座るとSはニヤニヤして勝ち誇った顔で俺を見てきた。
あの時の続きをやっているのだろうか??
そしてこれは、この日から毎日続いた。
最初は呆れていたし相手にしていなかったが、まえに突然殴られたときやり返していなかった事なども
あってか、凄くムカつくようになった。
しかし、タッチでもしようものならこの馬鹿と鬼ごっこをすることになると思ったのでこらえた。
相手にしなければ勝手に止めると思っていたが、Sの行動はエスカレートしていった。
トイレに行くのにもイスに座ったまま引きずりながら行くようになったのだ。
そして勝ち誇った顔で俺を見てきた。俺はSがムカついてしょうがなくなっていた
:10/08/12 03:56
:W56T
:hLmSbAeo
#155 [七氏]
そして俺はある事を思いついた。
終業式の日に俺がタッチして逃げれば学校が始まるまであいつはずっと
鬼になるのだから、もの凄く悔しがるに違いないと思ったのだ。
もちろんSは俺の住んでいるところを知らないし。教えてくれる友達もいない。
あいかわらずSは俺から逃げ回っていたが、タッチされた時の悔しがるさまが想像できて
逆に笑えるようになって来た。
そして、とうとう終業式の日がやってきた。俺はSが運動靴に履き替える為に上履きを脱いだ時に
タッチして逃げると言う作戦を立てていた。
終業式が終わり帰りの会も終わった。俺はSを相手にしていないふりをしてそそくさと教室をでた。
Sは馬鹿なので学校で使う道具をこまめに持って帰っていなかったので、Sの机だけ荷物が
凄いことになっていた。俺は逃げやすいように手ぶらで済むようにしていた。
:10/08/12 03:59
:W56T
:hLmSbAeo
#156 [七氏]
俺は運動靴をはいて、隠れてSが来るのをワクワクしながら待った。
30分くらいして、パンパンのランドセルを背負ったSが、荷物をひきずりながら歩いてきた。
Sが上履きを脱いだ。俺はその瞬間うしろからSの頭をおもいっきりはたいて、『タッチーw』と
憎々しい声で言ってその場から全速力で逃げた。
Sは想像以上のもの凄い反応をした『ををぉーおー』ともの凄い大声で叫んだのだ。
俺は笑いながら走った。必死で悔しがりながら走ってくるSを見てやろうとふり返った。
この時はあの大荷物じゃ走って追いかけてきてないかもしれねーつまんねーのなどと思っていた。
しかしSは靴下のまま、荷物もほっぽり出して俺を追いかけてきていた。Sの必死さに俺は大笑いしながら走った。Sは『殺す!』『呪う!』『待て!』を
もの凄い声で叫んでいた。最後のほうは喉が変になっているのに無理やり出しているような声だった。
俺は家に帰ってからも笑いが止まらなかった。あーせいせいしたと心から思った
:10/08/12 04:01
:W56T
:hLmSbAeo
#157 [七氏]
夕方頃、家でテレビを見ていると、『をおうー』という人間とはおもえないような声が聞こえた。
Sが殺すといっている声だと直感的に感じ冷や汗がでてきた。
あいつ、まだ探してるのかよ・・俺・みつかったらどうなるんだよ・・と
その日の夜、家に緊急電話連絡網が、回って来た。
Sが死んだからだ。
トラックに跳ねられたらしい・・
後で知った事だが信号を無視して道路に飛び出してきたらしい
そして靴を履いておらず足の裏と喉がズタズタだったそうだ。
そして、Sが事故にあった時間は丁度おれがあの声を聞いた時間だった。
Sが大荷物で教室から出てくるのが遅いせいか、俺が関っている事は誰にもばれなかった
もしかしたら死ぬ直前まで、Sは叫びながら走り続けていたのかもしれない・・
あの不気味な声だけで終わればどんなに幸せだった事か・・
:10/08/12 04:03
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:hLmSbAeo
#158 [七氏]
その夜、Sが死んだ日に聞いたあの声が聞こえてきた。
今度は追いかけられる番なのかもしれないと思った。
それからというもの、俺は毎日イスに座って過ごしている。
イスに座っていれば安全かもしれないと思っているからだ。
今はまるであの時のSのマネをしているような生活をしている。
イスに座って寝ている様など、授業中に寝ていたSそのものだ。 今ではSのように他人が突然追いかけてくるようにおもえて近づくことができない
また半径5m以内に近づけないゲームをやることになるとは、何と言う皮肉だろう。
:10/08/12 04:04
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:hLmSbAeo
#159 [七氏]
「ある葬儀屋の話」
ある小さな町でAという身の丈190cmの大男が死んだ。彼は乱暴で粗雑、しかも何ごとも根に持ち
ささいな子供のいたずらにも酷い仕返しをするので皆から嫌われていた。
彼を変人呼ばわりした近所の小学生を捕まえ、顔が紫色に腫れ上がるまで平手で打ち付け暴行罪で逮捕された経歴まである。
身寄りもおらず、日雇いの汚い仕事で稼いでは酒を飲んでいたので、肝臓でもやられたのだろう。
町で唯一の葬儀店Bの店主もこの男が大嫌いだったが
役場からのたっての頼みでしぶしぶ安い葬式をあげることになった。
適当に死体を洗い、一番安い棺桶に押し込め、売れない坊主を無理矢理説得してお経をあげさせた。
異変が起きたのは葬儀が終わり棺桶を火葬場に運ぶときだった。
他に葬儀が重なってしまったせいもあり、霊きゅう車が手配できなかった店主は
軽トラックの荷台に積んでAの亡骸を運ぶことにした。
それほど遠い距離ではなかったが、大事をとって店主自らが荷台で棺桶が落ちないよう見張ることになった。
:10/08/12 04:12
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:hLmSbAeo
#160 [七氏]
特に坂道や悪路もなく店主が荷台に乗ったのはあくまでも念のためだった。
が、しばらく行くと石でも踏んだのか急に棺桶が大きく揺らぎ、 店主は荷台の外枠と棺に足を強く挟まれた。
すぐに病院に運ばれたが、店主はスネから下を酷く複雑骨折しており
仕方なく切断することとなった。
しばらくして、「葬儀店Bの店主は自業自得だ」という声が町に出始める。
坊主がこんな事実を暴露したためだ。
あいつはAのサイズに合う棺桶を作るコストをケチって、
普通のサイズの棺桶に無理やりAの亡骸を納めたんだよ。
どうやったかって?
もちろんスネから下をノコギリで切断したのさ。
:10/08/12 04:13
:W56T
:hLmSbAeo
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