怖い話総合
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#141 [七氏]
生活に余裕があるわけではない。
仕事探さなきゃアパートの家賃払えず、追い出されてしまう。
毎日朝から求人雑誌片手にあちこちの企業に電話をするが、全て断られた。
運転免許証もなければ、パソコンも使えない。
年齢25歳の女だけど、若さだけで転職も難しくなった。
前の会社はノルマが厳しすぎて辞めてしまった。
全く仕事が続かないのも、断られる原因かもしれない。
追い討ちをかけるように、不景気…というのを実感したくらい、その日も全滅だった。
:10/08/12 03:10
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:hLmSbAeo
#142 [七氏]
【続き】
公園のベンチで座ってると、ベンチの横に設置されたゴミ箱に最新号の求人雑誌が捨てられていた。
捨てられていたのは有料の求人雑誌。
無料に比べると有料はジャンルも多いし、大企業が圧倒的に多い。
ラッキー、と思いながらゴミ箱から拾った。汚いとかそんな事を気にする余裕もなかった。
パラパラめくりながら電話をするが、相変わらず断られた。
ハァ…と溜め息をつきながら見るのを止めて、横に置くと、風でページが勝手にめくれていく。
動きが止まり、横目でちらっと見て、思わず求人雑誌を手にとって握りしめた。
:10/08/12 03:12
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:hLmSbAeo
#143 [七氏]
【続き】
“期間限定、3食付き、住み込み可、時給1500円、露天風呂無料で利用可能”
「これだぁーっ!」
あまりの好条件に迷いもなく、何としてでも働きたいと思いながら電話をした。
「はい、ありがとうございます。A旅館です」
若い女の声だった。
「もしもし。立花と申します。求人見て電話したのですが」
「ちょっとお待ちください…ガ…イガ…ガガ…ガ…」
電波が少し悪いが、電話の向こうでは何か話してるようだった。
:10/08/12 03:14
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#144 [七氏]
【続き】
受話器を握りしめ、待ってたら今度はおじさんが電話に出た。
「もしもし。A旅館です。いつから来れますか?」
「明日には行けます」
「明日から来てください。何時になってもいいから必ず来てください。名前は?」
「立花です」
「立花さんだね。お待ちしてます」
電話を切った途端、何か急に違和感を感じた。
突然面接決まって嬉しいはずなのに、嬉しさは全くなくて、むしろ後悔してる。
理由は分からないけど、すごく後悔してる。
お金がないので、行く気がなくても働かなきゃいけない。夜のうちに準備をして寝た。
:10/08/12 03:16
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#145 [七氏]
【続き】
朝になり、起きようとするけど、全く体が動かない。足も重いし、体の筋肉ないんじゃないかと思うくらい、体中がダルい。
何とかして洗面所に這っていき、顔を洗えばマシになるかと鏡で顔を見た瞬間、ビックリした。
目の下のクマがはっきりしてて、頬はこけ、目は死んだように肌も生気もなかった。
「これ…が…私…?」
酷くダルいのは風邪をひいたせいかもしれない。
プルプル…
電話が鳴った。受話器を取ると、旅館からだった。
「A旅館です。立花さん、今日は来れますよね?」
「あ…はい。大丈夫です」
「声が変ですが、風邪ですか?絶対に来れますか?」
「あ…大丈夫です。」
「お待ちしてます」
夜のうちに準備をしたし、電話で行くと言った以上、不自由な体を無理矢理動かし、傘を杖のようにしながら駅まで歩いて行った。
まるで老人になったように、体中がシワだらけのような感覚。
駅まで歩いて5分なのに、45分もかかった。
やっと駅に着いた時は、全身汗でぐっしょり。ゼイゼイ言いながらホームのベンチに座った。
何とか行けそうだ。
:10/08/12 03:19
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#146 [七氏]
【続き】
電車がきた。乗り込もうとすると、すでに乗って降りようとするオバサンに突き飛ばされた。
頭は打たなかったけど、尻餅はついた。普段ならよろめくくらいの軽いぶつかりなのに、全く踏ん張れなかった。
突然オバサンは怒鳴り込んだ。
「乗るんじゃないっ!」
「乗らなきゃいけないのよ。面接に行くんだから…」
「乗ったらアンタ死ぬよ!」
駅員が来て、話してる最中、電車は走っていった。
「あ…」
走りすぎる電車を見送り、見えなくなった。
すると、さっきまでの体の疲れが嘘のようになくなった。もしかしたら行かないほうがいいのかもしれない。
オバサンが言った。
「さっきは突き飛ばしてごめんなさい。アンタ死にかけなくらい生気なかったから危なかったわ。」
そう言えば、電話を切った途端に“おかしい”って感じてた。
やっぱり断ろう。
家に帰る途中で公衆電話があるので、そこから旅館に電話した。
:10/08/12 03:22
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#147 [七氏]
【続き】
「…おかけになった電話番号は現在使われておりません。番号をお確かめのうえ…」
え? そんなはずはない! かけ間違えたのかと、慎重に番号を見ながらもう一度かけると結果は同じだった。
「お客様がおかけになった電話番号は…」
電話を切ると、その場に座り込んでしまった。
「…いったい、どういう事? どうなってんの? あ、そーだ! 携帯に録音してたんだった!」
聞き間違えてはいけないと思い、念のために携帯電話に録音していた。調べて聞いた。
『…ガガガ…』
あれ? リセットしてまた聞いた。
『はい、ありがとうございます。A旅館です』
『もしもし。立花と申します。求人見て電話したのですが』
『ちょっとお待ちください…ガ…イガ…ガガ…ガ…』
『もしもし。A旅館です。いつから来れますか?』
『明日には行けます』
『明日から来てください。何時になってもいいから必ず来てください。名前は?』
『立花です』
『立花さんだね。お待ちしてます』
特に変わった所はないけど、もう一度聞いた。
『はい、ありがとうございます。A旅館です』
『もしもし。立花と申します。求人見て電話したのですが』
:10/08/12 03:24
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#148 [七氏]
【続き】
『ちょっとお待ちください。……、さびしいよ…暗いよ…一緒においで…』
『もしもし。A旅館です。いつから来れますか?』
『明日には行けます』
『明日から来てください。何時になってもいいから必ず来てください。名前は?』
『立花です』
『立花さんだね。ずーっとお待ちしてます』
2回目を聞いたらゾクッとした。1回目に入ってなかった声が入っていたから。
朝かかってきた電話の録音も聞いてみる事にした。
『死ね苦しめ死ね苦しめ死ね苦しめ死ね苦しめ』
『あ…はい。大丈夫です』
『死ね苦しめ死ね苦しめ死ね苦しめ死ね苦しめ』
『あ…大丈夫です。』
『死ね苦しめ死ね苦しめ死ね苦しめ』
「いやーっ!」
思わず耳をふさいで携帯電話を投げつけた。かなり丈夫な携帯電話は傷がついた。
カバンから求人雑誌を取り出して募集広告を見ると、旅館は上が完全に崩れ、ガレキの山だった。
とても営業が出来るとは思えないくらい、崩れた建物にツタが巻き付いていた。
:10/08/12 03:28
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#149 [七氏]
【続き】
最初見たのと違う写真に変わってたから、思わず求人雑誌を公園のゴミ箱に捨てた。
これで終わったと思ってた。
いまだに旅館から電話がかかってきていた。
まだ電話に出ていない。もし、電話に出てしまったら…今度こそ連れて行かれるかもしれない。
携帯電話番号も変更したのに、今でもかかってくる…。
終わり
:10/08/12 03:29
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#150 [七氏]
「終わらない鬼ごっこ」
これは俺が小学校6年の時に、同じクラスのSって言う奴との間に起こった出来事です。
コイツはいつも挙動不審でわけのわからない奴だった。
授業中はいつも寝ていて
給食だけ食べていつも帰っているだけという感じだった。
もちろんクラスでは馬鹿にされていたし俺も馬鹿にしていた。
今にして思えば軽い知的障害があったのかもしれない
小学校の3年か4年の頃も一緒のクラスで、このSも含めて数人で鬼ごっこをやった事がいちどあった
チャイムがなった後にイスに座ったら終了と言うルールだった。
つまりチャイムがなった後に、鬼を残して全員が席についたら鬼が負けという事だ。
最初は俺がじゃんけんに負けて鬼になった。Sは一人だけトボトボ歩いていたのですぐにSにタッチした。
:10/08/12 03:47
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