>>167【続き】
「不安がなくなったら創作の質は下がると思います。不安な気持ちを抱えていたり、自分に元気や勇気が足りないと思ったり……だからこそ、その気持ちを歌にしようとするのでは。表現している者の説得力というのは、そういうところから生まれるのではないかなと。だからこそ、不安を抱えている人たちに寄り添える歌になるのではないでしょうか。不安だし生きづらい、でも自分にしか作り出せない表現の世界が確かにあって。それこそがシンガーソングライターとして生きる道なんだよと、花パパさん、娘さんにお伝えください」
そして、デビューできるかどうかは、「運」と「出会い」の要素が大きいと福山さんは自身の経験から言います。
「よしんば、すさまじい音楽の才能をお持ちだったとしても、人との出会い、運が悪ければデビューできないと思います。逆に、僕のような例もあるんです。たまたま事務所のオーディションに合格して映画の出演が決まっても、僕は音楽がやりたくて。『福山くん、そんなに音楽音楽って言うんだったら曲を持ってきて?』って言われて、そのときに初めて“そういえば、曲なかった……”って気付くような恥ずかしすぎる僕。それでも、当時のマネージャーの思いで何とかデビューできたわけです。もちろん、オーディションに行くという自分自身の能動的な行動が最初にあって始まったのは事実なんですけど、そこには才能よりも、やはり運と出会いがあったからこそデビューできたんだと今でも感じています」