都市伝説「くねくね」スレ
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#164 [七氏]
ヤツが腰を落とし、四つんばいになり、足を照らす懐中電灯の明かりの位置に、顔を持ってきた。直視してしまった。
昼間と同じ感情が襲ってきた。死にたい死にたい死にたい!こんな顔を見るくらいなら、死んだ方がマシ!!
叔父もペットボトルをひっくり返し、号泣している。落ちたライトがヤツの体を照らす。意味の分からないおぞましい歌を歌いながら、四つんばいで、生まれたての子馬の様な動きで近づいてくる。
右手には錆びた鎌。よっぽど舌でも噛んで死のうか、と思ったその時、
「プルルルルッ」
叔父の携帯が鳴った。
号泣していた叔父は、何故か放心状態の様になり、ダウンのポケットから携帯を取り出し、見る。
こんな時に何してんだ…もうすぐ死ぬのに…と思い、薄闇の中、呆然と叔父を見つめていた。
まだ携帯は鳴っている。プルルッ。叔父は携帯を見つめたまま。ヤツが俺の方に来た。恐怖で失禁していた。死ぬ。

⏰:10/03/22 11:00 📱:PC 🆔:☆☆☆


#165 [七氏]
その時、叔父が凄まじい咆哮をあげて、地面に落ちた懐中電灯を取り上げ、素早く俺の元にかけより、俺のペットボトルを手に取った。
「こっちを見るなよ!!ヤツの顔を照らすから目を瞑れ!!」 俺は夢中で地面を転がり、グラサンもずり落ち、頭をかかえて目をつぶった。
ここからは後で叔父に聞いた話。まずヤツの顔を照らし、視線の外で位置を見る。
少々汚い話だが、俺のペットボトルに口をつけ、しょんべんを口に含み、ライトでヤツの顔を照らしたまま、しゃがんでヤツの顔にしょんべんを吹きかける瞬間、目を瞑る。霧の様に吹く。ヤツの馬の嘶きの様な悲鳴が聞こえた。さらに口に含み、吹く。吹く。ヤツの目に。目に。
さっきのとはまた一段と高い、ヤツの悲鳴が聞こえる。だが、まだそこにいる!!焦った叔父は、ズボンも下着も脱ぎ、自分の股間をライトで照らしたらしい。
恐らく、ヤツはそれを見たのだろう。言葉は分からないが、凄まじい呪詛の様な恨みの言葉を吐き、くるっと背中を向けたのだ。
俺は、そこから顔を上げていた。叔父のライトがヤツの背中を照らす。

⏰:10/03/22 11:01 📱:PC 🆔:☆☆☆


#166 [七氏]
何が恐ろしかったかと言うと、ヤツは退散する時までも、不気味な歌を歌い、体をくねらせ、ゆっくりゆっくりと移動していた!!
それこそ杖をついた、高齢の老人の歩行速度の如く!!
俺たちは、ヤツが見えなくなるまでじっとライトで背中を照らし、見つめていた。いつ振り返るか分からない恐怖に耐えながら…永遠とも思える苦痛と恐怖の時間が過ぎ、やがてヤツの姿は闇に消えた。
俺たちはロッジに戻るまで何も会話を交わさず、黙々と歩いた。
中に入ると、叔父は全てのドアの戸締りを確認し、コーヒーを入れた。飲みながら、やっと口を開く。
「あれで叔父さんの言う、興味はそれた、って事?」
「うぅん…恐らくな。さすがに、チンコは惨めなほど縮み上がってたけどな」
苦笑する叔父。やがて、ぽつりぽつりと、邪視の事について語り始めてくれた…
叔父は、仕事柄、船で海外に行く事が多い。詳しい事は言えないが、いわゆる技術士だ。

⏰:10/03/22 11:01 📱:PC 🆔:☆☆☆


#167 [七氏]
叔父が北欧のとある街に滞在していた、ある日の事。現地で仲良くなった、通訳も出来る技術仲間の男が、面白い物を見せてくれると言う。
叔父は人気の無い路地に連れて行かれた。ストリップとかの類かな、と思っていると、路地裏の薄汚い、小さな家に通された。叔父は中に入って驚いた。
外見はみすぼらしいが、家の中はまるで違った。
一目で高級品と分かる絨毯。壺。貴金属の類…香の良い香りも漂っている。
わけが分からないまま、叔父が目を奪われていると、奥の小部屋に通された。
そこには、蝋燭が灯る中、見た目は60代くらいの男が座っていた。ただ異様なのは、夜で家の中なのにサングラスをかけていた。
現地の男によれば「邪視」の持ち主だと言う。
邪視(じゃし)とは、世界の広範囲に分布する民間伝承、迷信の一つで、悪意を持って相手を睨みつける事によって、対象となった被害者に呪いを掛ける事が出来るという。

⏰:10/03/22 11:02 📱:PC 🆔:☆☆☆


#168 [七氏]
イビルアイ(evil eye)、邪眼(じゃがん)、魔眼(まがん)とも言われる。
邪視の力によっては、人が病気になり衰弱していき、ついには死に至る事さえあるという。
叔父は、からかい半分で説明を聞いていた。この男も、そういう奇術・手品師の類であろうと。座っていた男が、現地の男に耳打ちした。男曰く、信じていない様子だから、少しだけ力を体験させてあげよう、と。
叔父は、これも一興、と思い、承諾した。
また男が現地の男に耳打ちする。男曰く、
「今から貴方を縛りあげる。誤解しないでもらいたいのは、それだけ私の力が強いからである。貴方は暴れ回るだろう。私は、ほんの一瞬だけ、私の目で貴方の目を見つめる。やる事は、ただそれだけだ」 叔父は、恐らく何か目に恐ろしげな細工でもしているのだろう、と思ったという。

⏰:10/03/22 11:02 📱:PC 🆔:☆☆☆


#169 [七氏]
本当に目が醜く潰れているのかもしれないし、カラーコンタクトかもしれない。もしくは、香に何か幻惑剤の様な効果が…と。縛られるのは抵抗があったが、友人の現地の男も、本当に信頼出来る人物だったので、応じた。
椅子に縛られた叔父に、男が近づく。友人は後ろを向いている。
静かに、サングラスを外す。叔父を見下ろす。
「ホントにな、今日のアイツを見た時の様になったんだ」
コーヒーをテーブルに置いて、叔父は呟いた。
「見た瞬間、死にたくなるんだよ。瞳はなんてことない普通の瞳なのにな。とにかく、世の中の全てが嫌になる。見つめられたのはほんの、1〜2秒だったけどな。何かの暗示とか、催眠とか、そういうレベルの話じゃないと思う」友人が言うには、その邪視の男は、金さえ積まれれば殺しもやるという。
現地のマフィア達の抗争にも利用されている、とも聞いた。
叔父が帰国する事になった1週間ほど前、邪視の男が死んだ、という。
所属する組織のメンツを潰して仕事をしたとかで、抹殺されたのだという。
男は娼婦小屋で椅子に縛りつけれれて死んでいた。床には糞尿がバラ巻かれていたと言う。
男は、凄まじい力で縄を引きちぎり、自分の両眼球をくり抜いて死んでいたという。

⏰:10/03/22 11:03 📱:PC 🆔:☆☆☆


#170 [七氏]
「さっきも言った様に、邪視は不浄な物を嫌う。汚物にまみれながら、ストリップか性行為でも見せられたのかね」
俺は、一言も発する気力もなく、話を聞いていた。さっきの化け物も、邪視の持ち主だっという事だろうか。俺の考えを読み取ったかのように、叔父は続けた。
「アイツが本当に化け物だったのか、ああいう風に育てられた人間なのかは分からない。ただ、アイツは逃げるだけじゃダメな気がしてな…だから死ぬ気で立ち向かった。カッパも、人間の唾が嫌いとか言うじゃないか。案外、お経やお守りなんかよりも、人間の体の方がああいうモノに有効なのかもしれないな」
俺は、話を聞きながら弟の夢の事を思い出して、話した。弟が助けてくれたんじゃないだろうか…と。俺は泣いていた。叔父は神妙に聞き、1分くらい無言のまま、やがて口を開いた。
「そういう事もあるかもしれないな…00はお前よりしっかりしてたしな。俺の鳴った携帯の事、覚えてるか?あれな、別れた彼女からなんだよ。でもな、この山の周辺で、携帯通じるわけねぇんだよ。見ろよ。今、アンテナ一本も立ってないだろ?だから、そういう事もあるのかも知れないな…今すぐ、山下りて帰ろう。このロッジも売るわ。早く彼女にも電話したいしな」
叔父は照れくさそうに笑うと、コーヒーを飲み干し立ち上がった。

⏰:10/03/22 11:03 📱:PC 🆔:☆☆☆


#171 [七氏]
>>160-170
長くてすまん

⏰:10/03/22 11:04 📱:PC 🆔:☆☆☆


#172 [七氏]
>>171さん
おつかれです!
読みましたが、すごいですね…
くねくねは邪視なのでしょうか。

⏰:10/03/22 12:26 📱:W62SH 🆔:☆☆☆


#173 [七氏]
>>171なんかすごいな

⏰:10/03/22 21:31 📱:P01A 🆔:☆☆☆


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