九州総合■怪談・怪奇スポット
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#83 [神楽◆8NBuQ4l6uQ]
@【福岡県 米一丸@〜B】
―供養塔と踏切―
>>83-85その昔。駿河の国に、木島長者と言われた貴福な人がいた。
夫婦は子宝に恵まれず、米山の薬師寺に祈願を掛けたところ、婦人は懐妊し、無事、待望の男の子が誕生し、米一丸と名付けられた。
米一丸は才知抜群で、十五歳の時に加冠・従四位・正直の名乗りを授かった。
米一丸、二十歳の時。絶世の美人と言われた八千代姫を嫁に迎え、結婚披露宴の為に、父は八千代姫を連れ、主節にあたる京都の一条殿の館へ出掛けた。
姫を一目見た一条殿。
あまりの美しさに心を奪われ、忽ち横恋慕し、米一丸を亡き者にして、姫を側室にしようと企んだ。
一条殿は若き日に、筑後・柳川へ流浪した時、路銀を使い果たし、伝家の家刀を博多の質物商に質入れしていた。
それを取り戻したいとの事で、米一丸は一条殿の命により四十二人の郎党を従え博多へと出発した。
しかし、これは一条殿の米一丸を謀殺せんが為の陰謀だった。
:09/02/18 11:11
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#84 [神楽◆8NBuQ4l6uQ]
A【福岡 米一丸@〜B】
―供養塔と踏切―
>>83-85翌年、博多に着いた夜すぐに、米一丸は質物商に掛け合った。
その質物商というのが悪徳商人で、一条殿のとの密約「金子を受け取り討ち果たせ」との内命により、取引を引き延ばし、米一丸を討ち取らんと計っていた。
辛抱に辛抱を重ね、やっとの思いで銘刀の取引も終わり、宿に引き上げる途中、四百余名の奉行配下に囲まれ、攻めたてられた。
必死の思いで、逃亡した米一丸であったが、追い詰められた末に、箱崎松原付近にて、自刃して果てた。
一方、新妻八千代は、米一丸の安否を心配して、旅を続け博多までやってきたのだが、その時すでに遅し…米一丸は死んだ後であった。
悲観にくれた八千代は、米一丸を供養した後、墓前で従女十二人と供に自害した。
その時、八千代は十六歳であった。
また、米一丸の母も我が子を案じ、八千代の後を追うように、待女を連れ旅に出たが、博多を目前に米一丸の悲報を聞き、力も尽き果て、旅の疲れも重なって、本木郷・さがり藤の民家で、五十余歳で生涯を閉じた。
:09/02/18 11:12
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#85 [神楽◆8NBuQ4l6uQ]
B【福岡 米一丸@〜B】
―供養塔と踏切―
>>83-85その後、里人は彼らを哀れんで、鎌倉時代末期、高さ四メートルの石造りの供養塔を建て、さらに供養塔を囲むように地蔵堂を建立し、奥方と米一丸の親子地蔵二尊を刻み、崇めるようになった。
現在、この供養塔は県指定文化財となっており、毎年八月には、地元の方々が中心となり、手厚く供養されているという。
さて、この米一丸供養塔の近くに踏切があるのだが…
見通しが良いのにも関わらず、事故が多発しているという。
また自殺が多いというので、今や心霊スポットとして有名になっている。
米一丸の祟り…とも噂されるが、無関係だと思いたい。
死して尚、怨みや悲しみの中にいるのでは、救われないではないか…。
米一丸と八千代、米一丸の母が、安らかに眠れることを願わずにはいられない。
:09/02/18 11:13
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