逃げて居ても仕方の無い事。
立ち向かう必要の有る事。
分かっては、居るのよ。

全てのやる気とか気力が失われて居る。何もしたくない。
そのくせ幸せを願うのだから、自分勝手よね。

何だかんだと申しまして、先の世にて御逢いし、時を共に致した御方と、今生にても巡り逢う事が有るのでは無いかと、心の奥底では信じて居るので御座います。先世の縁を頂き、再びの巡り合わせが有るのでは無いかと。決して夢を見る性質では無いのに、斯様な事は考え、信じてしまうので御座います。

愚かで有る事は分かって居ります。分かり切って居ります。斯様な事は夢物語で、有る筈の無い事で、況してや私の様な者には縁遠い事で在ると。

何の縁を信じて居るのか。如何様な禍福と命運を辿ると思って居るのか。
此の、愚かな頭で。
到底考え切れまいよ。

正しく在りたいと思う。有益で在りたいと思う。此の生を以て、何か御役を果たす事が出来るのならば、其れで良い、と。

今日もまた、先生が私に帰りを合わせて下さったわ。
「みつさん、もう帰る？まだもうちょいおる？」「あと30分くらいは残る？」と聞かれて。そろそろ帰りたいし30分以内には帰りたいですね…と返したら、「じゃあ俺も帰ろうかな。個人的な仕事は帰ってからやろうかな」と仰られて。でも後で、やらなければならない仕事を思い出して。もうじき帰りたいと言ってしまったから先生は帰るモードみたいだし帰ってしまうかな…と思いながら「あれをしておかないと忘れそうなのでやって帰ります…まだ帰れないです…」と言ったら、「あ、まだ残る？なら俺ももうちょっと残って仕事やるわ」と言われて、腰を下ろして作業を始められて。帰らずに一緒に残って下さるのか、と吃驚して。吃驚したけれど嬉しくて、内心喜んでしまった。

態々私にもうじき帰るか否か尋ねられる事も、その回答に因って先生の帰る時間を合わせて下さる事も、吃驚するけれど内心本当に喜んでいる私が居るわ。二人であの狭い個室に残って居ても構わない、気不味く無いと思って下さって居るのか、と。

帰る時も、「あ、もう終わった？じゃあそろそろ帰ろうか。俺も終わりにしよう」と、まるで私を待って下さって居たかの様な事を言われるし、何かもう本当に、先生の事好きね、私。
昨日は、業務後に先生が違う部屋で他の方達の相談に乗って居られて。仕事をしながら少し先生の帰りを待って見たのだけれど、一向に終わりそうに無いしどれだけ掛かるか分からなかったから、先に帰ったのよ。そうしたら今日残って居る時に先生に、「昨日は結構早く帰れたんやん。帰って来たら、あれ居らん、と思って」と言われて。何か、自意識過剰なのは分かって居るけれど、気付いて下さったのか、とか、少し気にして頂けたのかしら、とか思ってしまって。先生の事、好きねぇ。

彼の地で見て居る月と、私が今此の地で見て居る月が同じだなんて、本当に不思議よね。