>>338【続き】
日々生きてゆく中で、彼には目が見えないという圧倒的な現実が立ちはだかります。それは10代の多感な時期も、社会人となってからも相当な苦労の連続だったことでしょう。彼がアメリカで過ごした時間は、果たしてそのような自分が社会でどんなふうに生きて行けるのか? どういうふうに役に立てるのか? ということを真剣に悩み、深く考えた時間だったのではないでしょうか。
そうした中で、皆実さんはFBIの仕事に出会う。当然その道も簡単なものではありません。最初はバックアップスタッフとしてキャリアを歩み始めました。そこで周りの人に助けてもらい、助けてもらうことで自分も誰かを助けることができる、ということがあるときからわかったのでしょう。無我夢中で仕事を、勉強を続け、評価を勝ち取っていったんでしょうね。
だけど、いくら仕事がうまくいっても心の中に満たされない場所があった。「自分の父と母はどんな人だったのか?」。気づけば皆実さんの人生も半ばに差し掛かっていました。そこに舞い込んできたのが日本の警察との交換研修制度でした。