>>183【続き】
この記事を読んで、福山さんは深く感動したと言います。
「誰かが少しずつ我慢することで世の中というものは成り立っている、というふうに僕は思いがちなんですけど、このエピソードに触れて決してそうじゃないんだと。優しさや思いやりを“当たり前”と思いながら仕事に携わっている人がいることに、恥ずかしながら改めて気づかされました」
そして、「自分を恥じました」とも。その真意は――。
「長崎にいた頃、高校生くらいまで僕はよくおばあちゃんと墓参りに行っていました。けっこう階段のきついところのある場所だったので、おばあちゃんをおんぶして登って行くんですよ。それはもちろん、足腰が弱ってきていたおばあちゃんのために、っていう気持ちでおんぶをしていたんですが、でもどこかで父や母に素直になれなかったり、全然勉強しなかったり、校則違反をしたり……。そういう自分の不甲斐ない部分を帳消しにするために、おばあちゃんをおんぶすることによって、自分なりに“人間性のバランス”を取ろうとしていたのかもしれないなと、ふと思いました。自分のことを恥じたというのは、そういう意味です」