>>6 続き…
先生は、納得しきれなかったが、何もないほうが幸いと、自分に言い聞かせた。
その日の放課後。
先生はまた一人、音楽室でピアノを弾いていた。
気にしないようにしながらも、ついベートーベンが気になりチラチラと見ていると…
4時を過ぎた頃、再び、ベートーベンが血の涙を流し始めた。
やはり、夢じゃなかった!
・・・そして。
その女の先生は、どうしたかというと、次の日、花束を買ってきて、ベートーベンの肖像の前に備えたそうだ。
すると、それからは血の涙を流すことななくなったという。
ここまで話をした転校生は、こう付け加えた。
「今も、I小学校の音楽家には枯れてドライフラワーになった花束が置いてあるんだけどさ。
それをパキッて折ったら、ベートーベンの目から血の滴が落ちてくるんだ」
話の真意は定かではないが、数年後、高校生になった時に、たまたまI小学校を卒業したという人と話す機会があった。
何気なく聞いてみたところ、音楽室にドライフラワーの花束があるのは確かなようであった。