>>608【続き】
被爆クスノキは生命の力強さの象徴。高校時代の福山にとっても特別な存在だった。「東京に行ってミュージシャンになりたい」「長崎から早く出たい」。思春期特有の理想と現実のギャップに悩み、自らの無力さに落胆した時、無意識のうちに足を運んでいた。
「(物事が)解決するわけじゃないのに、クスノキの前にたたずむと、心を静められた。とにかく落ち着くことができたんです。今思い返すと、どうにもならないこと、どうにもできない気持ちを受け止めてもらっていたのかな。500年、一歩も動かずに立ち続けるクスノキの有りように、10数年しか生きていない自分は畏敬の念を抱いていたんだと思います」
楽曲はクスノキの視点から描かれ、「生命の尊さ、たくましさ」と「全ての生命が等しく生きられる世界」への願いを込めた。2014年のアルバム「HUMAN」の1曲目に収録されていたが、新たにボーカルレコーディングを実施。合唱隊やオーケストラが加わる形で編曲された。