小学生の頃、合唱コンクールで

翼をくださいをクラスで歌う事になった。合唱コンクールは父母の方々も見にくるシステムで地元の会館で盛大に行われる行事の一つだった。同じクラスの優里ちゃんって人がいたんだけど、優里ちゃんのお母さんは耳が聴こえない病気で優里ちゃんは手話が出来た。それを考慮したのか先生が「翼をくださいを手話も使って歌いましょう」って提案して俺たちは初めての手話を頑張って覚えた。手話しながら歌うのは意外と難しくて中々声が出なかったり、手話を間違えたり小学生の俺は苦戦した。でも優里ちゃんの母さんにも届けたいって気持ちで練習した。そして本番当日、控え室で先生も加わってみんなで円陣を組んだ。緊張しながら舞台に上がって歌った。ピアノ担当の人が途中ミスって伴奏止まっちゃって手話もみんなバラバラにずれたけど、父母のみんなが手拍子でリズム作ってくれてなんとか歌い終わり大きな拍手を貰った。ピアノの人は舞台降りた後に泣いちゃって優里ちゃんに「私のせいで失敗しちゃってごめんね。手話もバラバラにしちゃって。」って泣きながら言った。そしたら優里ちゃんが「ううん、気にしないで！お母さん今日用事あって来てないから！」って言った。俺は目眩がした。