>>288【続き】
「まず、『なみきや』に蓮沼が入ってくるシーンは、3日間リハーサルを行っています。おおよそ10分あるかないかのシーンなんですけどね」
ではなぜ、このシーンのリハーサルに3日間という時間を費やしたのか、福山さんは説明します。
「今回の事件の当事者である面々というのは、当たり前ですけどこの映画で初めて登場します。だけど彼らは、映画の中の架空の街である菊野市で生まれ育った人、あるいはそこに根を下ろして生活をしている人たちなわけです。その人たちの営みが醸し出す空気感を出したいというのが西谷(弘)監督の希望としてありました。なので、登場人物一人ひとりの役柄が、それを演じる役者さんに染み込むのにじっくり時間をかけ、キャラクター個々による話し方や間、そこから垣間見える関係性というものを炙り出し、しっかりと描きたかったという狙いで3日間のリハーサルを行いました」