＊あずきの徒然草６帖＊

まず、誤解しないでもらいたい。

いくら嫌いな人であっても、仕事上では話をするからね！

私は、『嫌いな人は全面的に無視をする』幼稚な考えはしない。

そこに、少しでも理性が無いと駄目よね。

『いつも遅くまで仕事をして、大変そうですよね？』

『え？うーん・・』

『Ｍさんに仕事を教えながら自分の仕事をしたり、Ｎさんの分まで・・』

『まあ、仕方ないよね』

『実際、全部の仕事をＫ課長がやるのは、負担が掛かりますよね？』

『いつも見ていて大変そうに見えるから』

『でも、Ｍさんに関しては仕方ないよ。あともう少しかな・・』

『それに、今は来ている荷物も少ないし、そこまで大変じゃないよ』

『あ、そうなんですか？』

『うん。だから、まだマシかも知れない』

『うちの課の男性は、定時になるとさっさと帰りますけどね・・』

『Ｋ課長達は、発注の関係ですぐに帰る訳にはいかないですからね・・』

『でも、Ｓさんは早く帰っちゃうけどな』

・・あれ？あれあれ？

この心の中のもやもやは何だろうか？

今まで、散々避けられていたと思ったのに、どうしてこんなに話せたのか。

しかも、以前と変わらない話し方で。

普通に話せたことは、私の中で素直に嬉しく思うけど。

今までの態度は何だったの？

もっと早く普通に話したかった。

こんなにＫ課長に対して疑心暗鬼になって、すごく悩み続けていたのに。

『この人はパワハラ！』と思うくらい、酷いことをされたのに。

どうしてこんなに話せたのか。

そんなＫ課長を、どう受け止めるべきなのか、今の私には分からない。

新年度から心身共に変わりたいと思って、体質改善を始めた。

仕事も、冷静にこなそうと奮闘している。

嫌なことがあっても負けないように、折れないようにしている。

少しずつ、心が成長しているのかな。

少しずつ、今までの自分から変われているのかな。

だから、今日はＫ課長と話せたのかな。

ただ、これ以上は踏み込まない。

あくまでも仕事上のこと。

ずっと傷付いていたことに変わりはない。

簡単に傷が癒える訳がない。