心臓の近く

重力に従順な体を嫌っても
浮遊した意識を手放せない
それが弱さだと認めたくない

停滞する理由なら
濁った心より明確なのに
失われない君の鮮度には
触れることさえ叶わないから

手を伸ばす
また落ちる
手を伸ばす
苦しい…

遠ざかるのが遅れて解る
瞼の奥ですら泣かないのは
泣けないからじゃあないんだよ
君には見えないと思う

君にだけは、
知られたくない。

君に触れてほしい。

指先ひとつでも、
君に繋がる自分がほしい。

笑わないで、
目がそらせなくなるから。

見つめないで、
悲しくなるから。

嘘、だよ。
本当は、

…本当はね、

なんて、言えない。

ただ君が好きなんだよ。

いつまで続くの
いつか終わるの？

君のいない世界なんて
もう考えられないよ

君に触れられない自分なんて
きっとただの空っぽだよ

いつになれば
君の隣にいることが
「普通」の価値になるの

いつになれば
君に甘える自分を
律しなくてすむようになるの

どうすれば君を忘れても
平気だなんて笑えるの？

気付くとそばにいるから
忘れそうになるんだよ

気付くとそばにいるから
いなくなる未来がさみしい

君は優しいから
きっと優しさが傷になるなんて
これっぽっちも気付かないよね

さみしい、なんて
絶対言わない。

だから忘れないように
気付いたらそばにいてよ…

近すぎて見えない。
君以外の何もかもが。

離れたら見えない。
君を求める私でさえも。

君の触れた箇所に残る。
私の見たかったすべてが。

君に触れる私の汚さが
君を汚していくのがわかる。

私に触れる君の純粋さが
私をさらに汚すのがわかる。

汚くていい。

かなしいけれど、
さみしいけれど、
せつないけれど、
きれいな瞬間は知ってる。
君だって知ってると言った。

だから、汚くてもいい。

君だけでいい。

他の誰が、
他の何が、
私のそばにあったとしても
君がいなければ
孤独の色が強まるだけ。

君が離れるなら、
もう私だって要らない。
君のいない世界なら、
私はもう息一つするのも嫌。

足りないの？
じゃあ足りる子を探しなよ…
なんて言えなかった。

大好きだよ
愛してるよ

君の望むすべてを
答えたいし努力する
いつでも君を想う

…なのに、足りないの？
どうすればいいの？
どうすれば君に届くの？

大好きだよ！
愛してるよ！

嘘じゃない！